お局スタッフへの対応方法|二代目院長の心得5選

お局スタッフへの対応方法|二代目院長の心得5選
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「先代の右腕」だったスタッフが、なぜあなたの前では壁になるのか

継承して2〜3年目の院長先生から、私たちのもとには驚くほど似た相談が寄せられます。「スタッフとの面談で本音が聞けない」「ベテラン衛生士の顔色をうかがってしまう」「前院長と比較され、指示が通らない」――こうした悩みの中心にいるのが、いわゆる「お局スタッフ」の存在です。

一般的な「お局対策」の記事では、性格タイプ別の対処法やコミュニケーションのコツが語られます。しかしそれだけでは、二代目院長が直面している本質的な問題は解決しません。なぜなら、二代目院長とお局スタッフの関係は、単なる「合わない人間関係」ではなく、「先代院長という第三者の記憶」を挟んだ、極めて特殊な力関係だからです。

先代時代から10年、15年と勤めているスタッフは、あなたが院長になるずっと前から、この医院の患者対応も、経営の苦労も、先代の人柄も知っています。彼女たちにとってあなたは「まだ何も知らない後継者」であり、無意識のうちに「先代ならこうだった」という物差しで日々あなたを測っています。

私自身も、面談代行の現場でこの構造に何度も向き合ってきました。ある歯科医院の三代目院長は、就任当初「スタッフ会議で誰も目を合わせてくれない」と話していました。実際に同席させていただくと、40代のベテラン歯科衛生士が発言するたびに、他のスタッフが一斉にその表情をうかがう空気があり、院長ではなくその衛生士が「事実上の意思決定者」になっていることが一目でわかりました。

お局スタッフは敵ではなく、先代が遺した「組織の記憶装置」である――このとらえ方の転換こそが、二代目院長の心得の出発点になります。ここから、私たちが数多くの医院で実践してきた具体的な心得を5つご紹介します。

心得1:まずは「先代との違い」を正面から認める

二代目院長が最初につまずくのは、「先代と同じようにやろう」あるいは逆に「先代を否定して自分色に変えよう」と急ぐことです。どちらの態度も、お局スタッフの警戒心を強めてしまいます。

比較されることを恐れず、言葉にする

大切なのは、比較されること自体を隠さず、むしろ自分から言葉にすることです。「私は父とは違うやり方をすることもあると思います。でも、この医院を大切にしたい気持ちは同じです」と、就任時にはっきり伝えた院長は、その後の関係構築がスムーズでした。逆に、比較を恐れて何も言わなかった院長は、スタッフから「何を考えているかわからない」と距離を置かれるケースが目立ちます。

実際のコーチング事例

私たちが面談代行に入った、継承2年目の医院の例です。40代のベテラン衛生士は「前の院長先生は毎朝みんなの顔を見て一言声をかけてくれた」と繰り返し話していました。新院長にヒアリングすると、実は診療前の準備に追われ、朝の挨拶を省略していただけで、悪気はまったくありませんでした。この「小さな習慣のズレ」が、スタッフには「軽んじられている」というメッセージとして伝わっていたのです。院長がこの事実を知り、翌週から意識的に朝の一言を再開したところ、1か月後の面談では「最近ちゃんと見てくれている気がする」という発言に変わりました。

「違って当然」と認めることが、実は一番のスタッフへの誠実さです。

心得2:ベテランの「経験」を承認しつつ、決定権は譲らない

お局スタッフへの対応で最も難しいのが、経験への敬意と、院長としての決定権のバランスです。承認しすぎれば発言権を握られ、否定しすぎれば反発を招きます。

「聞く」と「従う」を分ける

多くの二代目院長は、ベテランスタッフの意見を「聞く」ことと、その通りに「従う」ことを混同してしまいます。治療器具の配置や滅菌手順など、臨床経験に基づく意見は積極的に取り入れるべきですが、経営方針や人事といった院長の専権事項まで委ねてしまうと、実質的な院長交代が起きてしまいます。

領域ベテランの意見を取り入れるべき度合い理由
診療補助の手順・院内動線高い(積極採用)現場経験が最も豊富
患者対応マナー・接遇中〜高患者との関係性を熟知
新人教育の方法中(すり合わせ必須)世代間で価値観の差が出やすい
経営方針・診療報酬体系低(最終決定は院長)経営責任は院長のみが負う
人事評価・採用低(最終決定は院長)私情が入りやすい領域

統計から見える現実

ある歯科医院向け人事コンサルティング機関の調査によれば、歯科医院の離職理由の上位に「人間関係」が挙げられる一方で、「ベテランスタッフの意見が強すぎて改善提案ができなかった」という声も一定数報告されています。承認と決定権の分離は、お局スタッフのためだけでなく、若手スタッフの定着のためにも欠かせない心得です。

「あなたの経験は財産です。でも最後の責任は私が取ります」と言い切れるかどうかが分岐点です。

心得3:一対一の面談を「先代の代わり」ではなく「院長自身の言葉」で行う

先代院長がスタッフ一人ひとりと個別に信頼関係を築いていた場合、二代目院長はその「型」を真似ようとしがちです。しかし、真似は必ず見抜かれます。

面談の主導権を握るための準備

私たちが院長にお伝えしているのは、面談前に「このスタッフが先代とどんな関係だったか」を事前に把握しておくことです。ただし、それをなぞるためではなく、「自分はどう関わりたいか」を明確にするための材料として使います。ある院長は、お局スタッフとの面談冒頭で「〇〇さんがこの医院を長年支えてくださったことに感謝しています。その上で、私がこれから目指したい医院像を聞いていただけますか」と切り出し、初めて相手が身を乗り出して話を聞いてくれたと振り返っています。

第三者を入れるという選択肢

継承直後は、院長自身がベテランスタッフと一対一で向き合うこと自体に強いストレスを感じるケースが少なくありません。実際、私たちのスタッフ面談代行サービスを利用された院長からは「第三者が入ることで、お局スタッフも本音を話しやすくなった」という声を多数いただいています。これは、二代目院長という立場ゆえの独特な力関係――スタッフが院長に対して先代との比較から本音を隠してしまう構造――を、外部の視点でほどく効果があるためです。

面談は「先代の代役」を演じる場ではなく、「これからの院長」を知ってもらう場です。

心得4:組織のルールを「感情」ではなく「仕組み」で変える

お局スタッフとの対立が深刻化する医院の多くは、ルールが「暗黙の了解」や「先代の口約束」のまま残されており、それが特定のスタッフの発言力を支える構造になっています。

就業規則・評価制度の見直しは味方につけて進める

ルール変更を院長一人で進めようとすると、「院長が自分を狙い撃ちしている」という受け取られ方をされがちです。そこで有効なのが、ベテランスタッフを制度設計の相談役として巻き込むことです。ある医院では、有休取得ルールの明文化に際して、あえて最もベテランの衛生士に「これまでの慣習」をヒアリングし、それを土台に新ルールを作成しました。結果として、そのスタッフは「自分の意見が反映された制度」として周囲に説明する立場になり、反発ではなく推進役に変わりました。

具体例:シフトと評価の透明化

課題感情的対応(避けるべき)仕組みでの対応(推奨)
特定スタッフだけ有給が優先される本人に直接注意する有給申請の優先順位ルールを明文化し全員に周知
昇給・賞与の基準が不透明個別に理由を説明して回る評価項目・基準を文書化し面談で提示
新人への当たりが強いその場で叱責する教育担当の役割・責任範囲を制度化する

個人を変えようとするより、仕組みを変えるほうが、結果としてお局スタッフ自身の行動も変わります。

心得5:それでも変わらない場合は「見極め」と「代替案」を用意する

心得1〜4を尽くしても、関係が改善しないケースがあるのも事実です。ここで多くの院長が抱えるのが罪悪感です。「先代が大切にしてきた人を、自分の代で切れない」という思いです。

「辞めさせる」ではなく「医院の未来を選ぶ」

私自身も、ある院長から「あの衛生士がいなくなったら患者さんが離れるのではないか」と何度も相談を受けたことがあります。しかし実際にヒアリングを重ねると、その衛生士に強く依存していたのは患者ではなく、院内の力関係そのものでした。最終的にその院長は、複数回の面談と改善提案を経てもなお態度が変わらないことを確認したうえで、円満な形での役割変更・退職を選択しました。半年後の売上・患者満足度は落ちるどころか、若手スタッフの発言が増え、院内の空気が明るくなったという報告を受けています。

見極めのための最終チェックリスト(表形式)

チェック項目判断の目安
改善のための面談・仕組み変更を複数回試したか3回以上のアプローチが目安
他のスタッフの離職・不満の火種になっているか若手の離職が続いていれば要注意
患者対応に具体的な悪影響が出ているかクレームや評判低下の有無を確認
院長自身が疲弊し診療に支障が出ていないか自身の心身の健康を最優先に

先代への恩義と、これからの医院を守る責任は、切り離して考えて構いません。

まとめ:二代目院長だからこそできる、新しい信頼の築き方

お局スタッフへの対応は、性格や相性の問題として語られがちですが、二代目院長にとっての本質は「先代との比較」という見えない物差しをどう扱うかにあります。ここまでご紹介した5つの心得――違いを認める、承認と決定権を分ける、面談は自分の言葉で行う、仕組みでルールを変える、それでも変わらなければ見極める――は、いずれも私たちが実際の医院で伴走しながら確認してきたものです。

継承したばかりの院長先生が一人で抱え込む必要はありません。第三者だからこそ引き出せる本音があり、外部だからこそ提案できる仕組みがあります。

よくある質問(FAQ)

Q1. お局スタッフに直接「辞めてほしい」と言ってもいいのでしょうか。

A. 感情的な場面での発言は避けるべきです。まずは面談と仕組みの改善を重ね、それでも状況が変わらない場合に限り、人事的な手続きに沿って冷静に検討しましょう。

Q2. 先代院長にお局スタッフのことを相談してもよいのでしょうか。

A. 先代が院内にまだ関わっている場合は、慎重に距離感を保つことをおすすめします。先代への相談が「院長としての未熟さ」と受け取られ、逆にスタッフの立場を強めてしまうことがあるためです。

Q3. 若いスタッフからもお局スタッフへの不満が出ています。どう対応すべきですか。

A. 個人の悪口として処理せず、「制度の課題」として一般化して受け止めることが大切です。個別対応よりも、評価やルールの明文化で根本解決を図りましょう。

Q4. 面談でベテランスタッフが本音を話してくれません。

A. 院長自身との一対一の面談では、先代との比較から本音を隠す傾向が強く出ます。第三者による面談代行を活用することで、本音を引き出しやすくなるケースが多くあります。

Q5. お局スタッフとの関係改善にはどのくらいの期間がかかりますか。

A. 医院の状況によりますが、私たちの支援実績では、面談と仕組み改善を継続して3〜6か月ほどで、院内の空気に変化が見え始めるケースが多いです。

まずは無料体験説明会でお話を聞かせてください。

この記事を書いた人

梅田 亮のアバター 梅田 亮 代表取締役

株式会社PlumChan 代表取締役。医科・歯科専門でコーチング技術を用いたコミュニケーション研修やスタッフ面談代行を行い、心理的安全性の高い職場づくりを行っています。

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