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歯科医院スタッフの接遇マナー教え方|院長向け

歯科医院スタッフの接遇マナー教え方|院長向け
目次

「前の院長の時はもっと感じが良かった」と言われて気づいた、接遇の本当の課題

受付でのひと言、診療中のちょっとした表情、会計時の対応――。患者さんは驚くほど、スタッフの接遇を細かく見ています。そして承継したばかりの院長先生にとって一番こたえるのが、「前の院長先生の時は、もっとスタッフさんの対応が良かったのに」という声ではないでしょうか。

自分が診療の腕を磨いてきた自負があるからこそ、接遇面での指摘は不意打ちのように刺さります。しかも厄介なのは、注意しようとしても「何をどう言えばいいのか分からない」「言ったところで空気が悪くなるだけでは」とためらってしまうことです。

接遇の悪さは、あなたの経営力のなさではなく、仕組みが引き継がれていなかっただけです。

私自身も、歯科医院のコーチングに入らせていただく中で、「スタッフの態度が悪いと言われるたびに、自分が否定された気持ちになる」という院長先生に何人もお会いしてきました。ですがお話を伺っていくと、接遇が悪いのではなく、「誰が」「いつ」「どう教えるか」が決まっていないだけ、というケースがほとんどでした。この記事では、叱ることなくスタッフの接遇を伸ばす、コーチング型の教え方を具体的にお伝えします。

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接遇マナーの乱れは、性格の問題ではなく「仕組みの空白」

接遇が乱れている医院を見ていくと、実は「スタッフの人柄が悪い」わけではないケースがほとんどです。むしろ患者さん想いで真面目なスタッフほど、正しい接遇の型を知らないまま自己流でこなし、それが積み重なって「感じが悪い」という評価につながっていることが多いのです。

先代の院長先生の時代は、長年一緒に働いてきたスタッフ同士の阿吽の呼吸で接遇が保たれていたのかもしれません。しかし承継とともにスタッフの入れ替わりが起き、その空気だけで支えられていた接遇レベルが崩れてしまう。これは決して珍しいことではありません。

「教えていないことは、できなくて当然」という前提に立つことが、指導の出発点です。

ここで大切なのは、接遇を「性格・センスの問題」として片づけず、「教育され、仕組み化されるべきスキル」として捉え直すことです。実際に、ある医院では接遇にばらつきがあったスタッフに個別で話を聞いてみたところ、「新人の頃、誰からも接遇について教わったことがなかった」という一言が返ってきたそうです。本人に悪気はまったくなく、ただ「教わっていないから、我流でやるしかなかった」というだけだったのです。院長先生としては驚かれるかもしれませんが、こうしたケースは決して珍しくありません。次の章では、なぜ接遇教育がうまくいかないのか、その原因を3つに整理してご紹介します。

なぜ接遇教育が定着しないのか、原因3つ

原因1:接遇の基準が院長の頭の中にしかない

「感じの良い対応」のイメージは、院長先生の頭の中には明確にあっても、言語化されてスタッフに共有されていないことがほとんどです。基準が共有されていなければ、スタッフは自分なりの解釈で対応するしかなく、結果としてスタッフごとにバラつきが生まれます。「そんなことは常識でしょう」と感じる院長先生もいらっしゃるかもしれませんが、育ってきた環境も前職も異なるスタッフにとって、「常識」の中身は一人ひとり違います。何を大切にしたいのかを、あらためて言葉にして伝える作業が欠かせません。

原因2:注意すること自体が「人間関係の悪化」に直結すると感じている

スタッフを注意できない院長の5つの対処法でも触れていますが、「注意する=相手を傷つける、辞められるリスクを負う」という思い込みから、接遇面の課題を見て見ぬふりしてしまう院長先生は少なくありません。指摘を先延ばしにするほど、スタッフ本人も「これでいいんだ」と学習してしまいます。

原因3:先代からの「暗黙のルール」が言語化されないまま断絶している

先代院長時代の接遇の型は、マニュアルではなく「見て覚える」文化で継承されていたケースが多く見られます。承継のタイミングでその継承ルートが途切れ、新しく入ったスタッフには何も伝わっていない――これが接遇の質のばらつきを生む、見落とされがちな第三の原因です。

さらに厄介なのは、「先代の頃はできていたこと」を今のスタッフに求めても、それがどんな行動を指しているのか、院長先生自身も具体的に言葉にできないケースがあることです。感覚として「感じが良かった」ことは覚えていても、それを「入室時に必ず名前を呼んで挨拶する」といった行動レベルまで分解できていなければ、スタッフに伝えようがありません。この分解作業こそが、次の章でお伝えするコーチング型指導の土台になります。

叱らずに伸ばす、コーチング型の接遇指導4ステップ

「直しなさい」ではなく「どうしたらもっと良くなると思う?」と問いかける。それだけで、スタッフの受け止め方は大きく変わります。

コーチング型の指導は、一方的に正解を押し付けるのではなく、本人に気づかせ、本人の言葉で改善策を語ってもらうプロセスです。歯科医院の接遇指導でも、以下の4ステップが効果的です。特別な資格やスキルがなくても、順番さえ守れば誰でも実践できるのが、この型の良いところです。まずは一つのステップからで構いませんので、次の面談や声かけの場面で試してみてください。

ステップ1:事実を「観察」として伝える(評価や決めつけを入れない)

「態度が悪い」ではなく、「さっきの会計のとき、患者さんへの声かけがなかったね」というように、見たままの事実だけを伝えます。感情や評価を挟まないことで、スタッフは防御的にならずに話を聞けます。

ステップ2:できている部分を先に承認する

いきなり指摘から入るのではなく、「予約の確認はいつも丁寧だよね」など、日頃のできている行動を先に言葉にして伝えます。承認から入ることで、その後の指摘も「否定」ではなく「期待の裏返し」として受け取ってもらいやすくなります。この伝え方はIメッセージを使ったスタッフへの注意の仕方とも共通する考え方です。

ステップ3:「私はこう感じた」と一人称で伝える

「患者さんが困っているように見えた」「私は少し心配になった」というように、主語を自分にして伝えることで、相手を責める響きが弱まります。歯科医院という閉じた空間だからこそ、この一言の柔らかさが人間関係に大きく影響します。

ステップ4:改善策を本人に考えてもらう

最後に「次はどうしたらいいと思う?」と問いかけ、本人の口から改善案を出してもらいます。自分で決めた行動は、押し付けられた行動よりもずっと定着しやすいものです。私自身も、この順番を変えるだけで、スタッフ側の表情が「怒られている」から「一緒に考えている」に変わる瞬間を何度も見てきました。

今週から始められる、接遇改善の具体的アクション

理屈が分かっても、日々の診療の忙しさの中では、つい後回しになってしまうのが接遇教育です。ここでは、明日からでも始められる具体的なアクションを3つご紹介します。

アクション1:接遇チェックリストを一緒に作る

「入室時の挨拶」「会計時の声かけ」「電話対応の言葉遣い」など、医院として大切にしたい接遇のポイントを5〜7項目に絞り、スタッフと一緒にリストにします。院長が一方的に作るのではなく、スタッフの意見も取り入れることで「自分たちのルール」という当事者意識が生まれます。項目数を欲張りすぎないことも大切です。多くても7項目程度に絞ることで、スタッフが日々の業務の中で無理なく意識し続けられるものになります。

アクション2:朝礼の1分間で「今日意識すること」を共有する

長い研修時間を確保しなくても、朝礼のたった1分で構いません。「今日は会計時の一言を意識してみよう」など、その日のテーマを一つだけ共有する習慣をつくると、接遇意識が日常業務の中に自然に根づいていきます。

アクション3:新人にはOJTの型の中に接遇項目を組み込む

新しく入ったスタッフには、技術面のOJTと同時に接遇の型も伝える必要があります。歯科医院の新人教育・OJTで定着率を上げる方法で紹介しているような教育の型に、接遇のチェック項目を組み込んでおくと、教える側による差が出にくくなります。

アクション4:月1回、接遇について振り返る面談の時間を作る

日々の朝礼での声かけに加えて、月に1回程度、10〜15分でよいので「接遇」だけをテーマにした振り返りの時間を作ることをおすすめします。日常業務の中では流れてしまいがちな小さな気づきも、定期的な面談の場があることで言葉にしやすくなり、スタッフ自身も「見てもらえている」という安心感を持てるようになります。

まとめ|接遇教育は「叱る」ではなく「一緒に育てる」もの

接遇マナーの乱れは、スタッフの人格やセンスの問題ではなく、基準が共有されていない「仕組みの空白」から生まれます。だからこそ、感情的に叱るのではなく、事実を観察し、承認し、一人称で伝え、本人に考えてもらう――このコーチング型のプロセスが有効です。

前院長と比較される辛さは、仕組みを整え直すことで必ず変えていけます。

とはいえ、日々の診療をこなしながら一人でこの仕組みを整えるのは、決して簡単なことではありません。院内だけで完結させようとすると、どうしても院長先生自身が「言い出しっぺ」として全ての負担を背負うことになりがちです。実際に何をどう伝えればいいのか迷ったときは、外部の視点を借りることも一つの方法です。第三者が客観的な立場から関わることで、院長先生とスタッフの間に程よい距離感が生まれ、指摘そのものも受け入れられやすくなります。まずは無料体験説明会でお話を聞かせてください。

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よくある質問

Q1. 接遇マナーの指導は、いつ・どのくらいの頻度で行うのが理想ですか?

日々の朝礼での1分共有に加えて、月1回程度、まとまった時間で振り返りの機会を設けるのがおすすめです。日常の中での「気づいたときのひと声」と、定期的な「振り返りの場」を両輪で回すことで、単発の注意で終わらず習慣として定着しやすくなります。

Q2. パートスタッフや古参スタッフにも同じやり方で伝えていいですか?

基本的な4ステップの考え方は共通して使えますが、伝える際の言葉選びやタイミングは相手との関係性によって調整が必要です。特に古参スタッフに対しては、まず院長自身が日頃の頑張りに敬意を払っていることを示したうえで話すと、受け止め方が大きく変わります。

Q3. 接遇について注意したら、スタッフの表情が明らかに曇りました。どう対応すべきですか?

その場で無理にフォローしようとせず、まずは受け止めてもらう時間を作ることも大切です。数日後に「この間の話、どう感じた?」と軽く聞いてみることで、本人の中での消化状況を確認しながら関係を修復していくことができます。表情が曇ったこと自体を「失敗」と捉える必要はありません。それだけ本人が真剣に受け止めた証でもあるため、焦らずフォローの機会を作る姿勢が信頼につながります。

Q4. 接遇マニュアルを作っても、結局スタッフが読んでくれません。どうすればいいですか?

分厚いマニュアルよりも、5項目程度に絞ったシンプルなチェックリストの方が定着しやすい傾向があります。また、作って終わりにせず、朝礼や面談で定期的に触れる機会を作ることで、「存在するけれど見られていない資料」になることを防げます。

Q5. 院長自身が接遇について注意すると角が立つので、誰か別の人から伝えてもらう方が良いのでしょうか?

チーフやリーダー的立場のスタッフから伝えてもらう方法も有効ですが、その場合はチーフ自身にもこのコーチング型の伝え方を身につけてもらう必要があります。院長がすべてを抱え込まず、伝える役割を少しずつ分散させていく視点も、長期的な組織づくりには欠かせません。

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この記事を書いた人

梅田 亮のアバター 梅田 亮 代表取締役

株式会社PlumChan 代表取締役。医科・歯科専門でコーチング技術を用いたコミュニケーション研修やスタッフ面談代行を行い、心理的安全性の高い職場づくりを行っています。

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