MENU
Check

先生ご自身の「型」を
1分で確かめる

ビジョン型か価値観型か。自分の型が分かると、なぜ特定のスタッフにだけ言葉が届かないのかが見えてきます。

行動傾向チェックを受ける

全15問・約1分/登録不要

医院承継後100日でやるべきこと・避けること

医院承継後100日でやるべきこと・避けること

医院承継後100日とは、新院長がスタッフからの信頼を獲得し、組織を安定させるために最も重要となる準備期間のことです。この最初の100日間にどう動くかで、その後何年もの医院運営の土台が決まると言っても過言ではありません。

承継したばかりの頃、多くの院長先生が同じような不安を抱えます。「早く自分のカラーを出さなければ」と焦る一方で、何から手をつければいいのか分からない——そんな板挟みの状態です。

私自身も、人からの評価に振り回されて身動きが取れなくなった経験があります。周囲の期待に応えようと空回りし、かえって信頼を損なってしまったこともありました。承継後の院長先生が感じている焦りは、決して弱さではなく、責任感の裏返しなのだと思います。

だからこそ、感情論ではなく「型」を知っておくことが大切です。この記事では、医院承継後100日でやるべきこと・避けるべきことを、具体的な行動レベルまで落とし込んでお伝えします。

目次

承継直後、多くの院長が感じている焦りと孤独

承継したばかりの院長先生からよくお聞きするのが、「スタッフの顔色をうかがってしまう自分がいる」という言葉です。前院長のやり方が染みついたスタッフの前で、新しい方針を打ち出すことに強い抵抗を感じてしまう。かといって何も変えなければ、いつまでも「先代の代理」のような立場から抜け出せない。

ある歯科医院の院長先生は、承継から3ヶ月経っても診療方針の相談をベテラン衛生士に「伺いを立てる」ような形でしかできず、「自分は本当にこの医院の院長なのだろうか」と悩んでいらっしゃいました。この孤独感は、あなたが特別に弱いからではなく、承継という立場そのものが構造的に抱える孤独です。

私自身、家族との関係の中で「認めてもらえるまで頑張り続けなければ」と思い込み、何年も孤独に耐えていた時期があります。誰かに頼ることが甘えだと感じ、一人で抱え込んでしまうのです。しかし後から振り返ると、その孤独を早い段階で言葉にできていれば、もっと楽に乗り越えられたはずだと感じています。もし今、同じような孤独を感じているなら、それは決して珍しいことではありません。後継ぎ院長が抱える孤独感の正体と向き合い方でも詳しく触れていますが、まずはその感情に名前をつけることから始めてみてください。

伝え方の型を無料で診断する

なぜ「最初の100日」が承継の成否を分けるのか

経営学の世界では、新任リーダーが着任してからの100日間を「ハネムーン期間」と呼ぶことがあります。この期間、周囲は新しいリーダーに対してある程度の猶予と好意的な観察の目を持っています。つまり、最初の100日は「試される期間」であると同時に、「信頼の土台を築ける貴重なチャンス」でもあるのです。

しかし、この期間の使い方を誤ると状況は一変します。猶予期間を「様子見」だけで終わらせてしまうと、スタッフの中で「結局この人も前と変わらない」という評価が固定化されてしまいます。 一度固定化された評価を覆すのは、ゼロから信頼を築くよりもずっと時間がかかります。

実際に、承継後半年でスタッフの離職が相次いだある医院では、院長先生ご本人は「特に何も変えていない」とおっしゃっていました。しかし詳しくお話を伺うと、最初の100日間、スタッフとの対話をほとんど行わないまま、経営数値の改善だけに意識を向けていたことが分かりました。スタッフから見れば「何を考えているか分からない院長」という印象が、この100日間で固まってしまっていたのです。

組織開発の分野でも、新しく着任したリーダーへの評価は最初の数ヶ月で大枠が固まり、その後は多少のことでは覆りにくいという傾向が指摘されています。人は「最初の印象」を基準にして、その後の出来事を解釈する生き物です。 最初の100日間で「対話する院長だ」という印象を持ってもらえれば、その後多少厳しい判断をしても「きちんと考えた上での決断だろう」と受け止めてもらいやすくなります。逆に「何を考えているか分からない院長」という印象が先についてしまうと、その後どれだけ良い施策を打っても、スタッフは疑いの目で見てしまうのです。

100日で失敗する院長に共通する3つの落とし穴

承継後にうまくいかなくなる院長先生には、共通するパターンが3つあります。

一つ目は、「早く成果を出さなければ」という焦りから、いきなり大きな改革に着手してしまうことです。診療体制やシフト、給与制度など、スタッフの生活に直結する部分を最初の100日で一気に変えようとすると、強い反発を招きます。改革そのものが悪いのではなく、信頼関係ができる前に着手するタイミングが問題なのです。実際、こうした急な変化についていけずスタッフが心を閉ざしてしまうケースは少なくありません(歯科医院承継でスタッフがついてこない原因と対処法も参考になります)。

二つ目は、前院長との比較を恐れるあまり、自分の意見を言えなくなってしまうことです。「前の先生ならこうしていた」という言葉を受けるたびに萎縮し、結局何も決められない院長になってしまう。これでは、スタッフはますます不安になります。

三つ目は、スタッフ一人ひとりと向き合う時間を後回しにしてしまうことです。診療や経営の実務に追われる中で、対話の時間は「余裕ができたらやろう」と先送りされがちです。しかし、対話を後回しにした分だけ、スタッフの中の疑念や不満は静かに積み重なっていきます。

私が承継後の院長先生方をサポートする中で強く感じるのは、この3つの落とし穴はどれも「焦り」から生まれているということです。 焦りそのものをなくすことは難しくても、焦りに任せて行動する前に、一呼吸置く仕組みを持つことはできます。

さらに付け加えるなら、この3つの落とし穴は独立しているのではなく、連動して悪化していくという特徴があります。改革を急いで反発を受け(1つ目)、その反発に萎縮して自分の意見を引っ込め(2つ目)、気まずさから対話そのものを避けるようになる(3つ目)——という悪循環です。どこか一つで踏みとどまれれば、悪循環全体を断ち切ることができます。 その最初の踏みとどまりどころとして最も現実的なのが、三つ目の「対話の時間を確保すること」だと私は考えています。

何を大事にすべきか——信頼構築という土台

では、この100日間で本当に大切にすべきことは何でしょうか。それは、「変化を起こすこと」よりも先に「理解すること」に時間を使うという順番です。

心理学者アルフレッド・アドラーは、信頼関係が「尊敬」と「信用」の積み重ねの上に成り立つと説きました。相手をコントロールしようとするのではなく、相手をありのままに理解しようとする姿勢が、結果として最も早く信頼を築く近道になります。

具体的には、スタッフ一人ひとりの経歴・得意なこと・不安に感じていることを、院長自身の言葉で説明できる状態を目指します。「あのスタッフは何を大切にして働いているか」を答えられない院長は、どんなに立派な方針を語っても、スタッフの心には届きません。

ある医院では、院長先生が承継直後の1ヶ月間、あえて新しい施策を一切打ち出さず、全スタッフと15分ずつの対話の時間を設けました。結果として、その医院は承継後の離職者がゼロのまま2年目を迎えています。院長先生ご自身は「最初に立ち止まったことが、一番の近道だった」と振り返っていらっしゃいました。信頼されるリーダーに共通する条件については、医院承継後、スタッフに信頼される二代目院長の条件でも整理しています。

100日プランの具体的な進め方

理解を深めるフェーズと、少しずつ変化を起こすフェーズを分けて考えると、行動に移しやすくなります。以下は、実際にサポートさせていただいた医院での進め方を基にした一例です。

期間 主な目的 具体的なアクション
1〜30日目 理解・観察 全スタッフとの個別対話、既存の業務フローの把握、大きな変更は行わない
31〜60日目 対話・すり合わせ 気づいた課題をスタッフに共有し意見を聞く、小さな改善を一緒に試す
61〜100日目 小さな変化の実行 合意が取れた範囲から段階的に改善を実施、成果を言葉で共有する

このプランのポイントは、最初の30日間を「何もしない期間」と割り切ることです。何もしないというより、正確には「観察と対話に全力を注ぐ期間」と位置づけます。ここで得た情報が、31日目以降の判断材料になります。

対話の時間は、雑談ではなく構造化された面談として設けることをおすすめします。何を聞けばいいか分からないという場合は、事前に質問項目を用意しておくと安心です。この個別対話の質を高めることが、その後100日間全体の成果を左右すると言っても過言ではありません。

また、フェーズを分けたとしても、それをスタッフに伝えずに院長の頭の中だけで進めてしまうと、スタッフには「結局何をしたいのか分からない院長」という印象しか残りません。「今は理解する期間だと考えている」「来月からは皆さんの意見を聞きながら小さな変更を試したい」というように、今どのフェーズにいるのかを言葉にして共有することも忘れないでください。見通しが共有されているだけで、スタッフの安心感は大きく変わります。

100日が過ぎた後も続けるべきこと

100日はあくまで区切りであり、ゴールではありません。この期間で築いた「対話の習慣」を、その後も継続できるかどうかが本当の分かれ道です。 100日間だけ丁寧に接し、その後は元の忙しさに戻ってしまうと、スタッフは「やっぱり一時的なものだったのか」と感じてしまいます。

もし一人でこの100日間を乗り切ることに不安を感じているなら、それは決して恥ずかしいことではありません。第三者の視点を借りることで、自分では気づけない思い込みや、スタッフとの間にできている見えない壁に気づけることがあります。まずは無料体験説明会でお話を聞かせてください。

💡 その孤独、一人で抱えていませんか

スタッフ面談代行を見る →

よくある質問

Q1. 承継後100日間、前院長にはどこまで関わってもらうべきですか

理想は、診療技術の引き継ぎなど専門的な部分に限定し、スタッフとの関係構築については新院長が主体的に行うことです。前院長が常にそばにいると、スタッフは無意識に前院長の顔色をうかがい続けてしまい、新院長への信頼構築が遅れる傾向があります。

Q2. スタッフとの個別対話で何を話せばいいか分かりません

最初は「今の仕事で大切にしていること」「困っていること」「これまでのやりがい」といったオープンな質問から始めるとよいでしょう。評価や指導の場ではなく、理解するための時間だと院長自身が意識することが大切です。

Q3. 100日以内に何か改革をしないと、スタッフに「頼りない」と思われませんか

焦って改革に着手するよりも、まず状況を正しく理解しようとする姿勢の方が、実は信頼につながります。何も考えずに様子見しているのと、意図を持って観察期間を設けているのとでは、スタッフに伝わる印象が大きく異なります。

Q4. 承継してすでに100日が過ぎてしまいました。今からでも遅くないですか

決して遅くありません。100日はあくまで目安であり、今日から対話を始めれば、そこが新しいスタートラインになります。大切なのは期間の長さではなく、向き合う姿勢そのものです。むしろ「これまでうまくいかなかった理由」をスタッフに正直に伝え、そこから仕切り直すことができれば、その率直さ自体が信頼構築の第一歩になることも少なくありません。

Q5. スタッフの人数が多く、全員と個別に話す時間が取れません

人数が多い場合は、まずリーダー的な立場のスタッフや、勤続年数の長いベテランスタッフから優先的に対話の機会を設けるとよいでしょう。全員と均等に長い時間を取ることよりも、「一人ひとりを見ようとしている姿勢」が伝わることの方が重要です。短時間であっても、定期的に声をかけ続けることを意識してみてください。

一人で抱え込まず、まずはお話を聞かせてください

まずは無料体験説明会に申し込む →

伝え方の型を無料で診断する

この記事を書いた人

梅田 亮のアバター 梅田 亮 代表取締役

株式会社PlumChan 代表取締役。医科・歯科専門でコーチング技術を用いたコミュニケーション研修やスタッフ面談代行を行い、心理的安全性の高い職場づくりを行っています。

目次