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スタッフへの給与の伝え方|歯科医院の院長向け

スタッフへの給与の伝え方|歯科医院の院長向け

給与や昇給、待遇についての「お金の話」とは、院長がスタッフに対して評価や労いの気持ちを言葉にして伝える、経営とスタッフの信頼関係を左右する重要なコミュニケーションである、と言えます。金額の多い少ないだけでなく、伝え方ひとつでスタッフの納得感も、その後のモチベーションも大きく変わります。

継承2〜3年目の院長先生からは、「前院長は給与の話も自然にできていたのに、自分は切り出すだけで身構えてしまう」というご相談を数多くいただきます。そもそも評価の基準そのものが言語化されていない医院も少なくありません。この記事では、評価制度の作り方ではなく、すでにある給与や昇給の内容を「どう伝えるか」「どう対話するか」というコミュニケーションの視点から、具体的な言葉の選び方までお伝えします。

目次

歯科医院の院長が給与の話を切り出せない、その気持ちに寄り添う

歯科医院の院長は、なぜスタッフへの給与の話を切り出せないのでしょうか。答えは、給与の話が「経営者としての力量を試される場」のように感じられ、断られることや反発されることへの恐れが先に立ってしまうからです。まずはその気持ちに寄り添うところから始めましょう。

継承したばかりの院長ほど「お金の話」が怖くなる理由

先代から医院を引き継いだばかりの院長先生は、経営の数字にまだ自信が持てない段階で、スタッフの生活を左右する給与の話をしなければなりません。数字への不安が、そのまま言葉の重さになってのしかかってきます。だからこそ、言い出すタイミングを逃してしまう院長先生が非常に多いのです。

「前院長はもっと気前が良かった」という比較への恐怖

継承後の院長先生を悩ませるのが、スタッフの中にある「先代との比較」です。実際に口に出されなくても、心のどこかで比べられているのではないかという恐れが、給与の話をさらに切り出しにくくしています。しかし比べられることを恐れて話を避け続ければ、その沈黙自体が「頼りない」という印象につながってしまいます。

言わなくても分かってほしい、という甘えが誤解を生む

院長先生の中には「頑張りは見ているつもりだ」「態度で示している」という気持ちを持っている方もいらっしゃいます。しかし、言葉にしなければスタッフには伝わりません。給与の話を避け続けることは、優しさではなく先送りにすぎません。

私自身も、経営に携わる立場でスタッフとの人間関係に悩んだ経験があります。良かれと思って踏み込まずにいたことが、かえって相手に「関心を持たれていない」という誤解を与えてしまったことがありました。お金の話ほど、言葉にしないと伝わらないテーマはないのだと、身をもって実感しています。

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給与の伝え方が空回りする本当の理由

給与の伝え方がうまくいかない本当の理由は何でしょうか。それは、金額そのものの妥当性ではなく、「なぜその金額なのか」「今後どうなっていくのか」というプロセスの説明が抜け落ちているからです。金額だけを伝える会話は、対話ではなく通告になってしまいます。

スタッフが不満に感じるのは「金額」より「説明」の不在

スタッフが給与について不満を口にするとき、実は金額そのものよりも「なぜこの金額なのか分からない」という説明の不在に対する不満であることが少なくありません。院長先生が悪気なく「今期はこれで」とだけ伝えてしまうと、スタッフの頭の中には無数の「なぜ」が残されたままになります。

院長の頭の中にある基準が言語化されていない

日々の診療の中で、院長先生はスタッフ一人ひとりの働きぶりを見ています。しかし、その評価の基準が院長先生の頭の中だけにとどまっていて、言葉として外に出されていないケースが多く見られます。基準が見えないまま結果だけを伝えられると、スタッフは「何を頑張れば報われるのか」が分からなくなってしまいます。

「頑張れば上がる」の一言だけでは伝わらない理由

「頑張れば給与も上がっていくから」という一言は、院長先生にとっては励ましのつもりでも、スタッフにとっては具体性のない言葉に聞こえてしまいます。スタッフが本当に知りたいのは、金額そのものより「なぜ」という物語です。

人材業界の各種調査でも、離職理由として「給与額そのもの」と並んで「給与の決まり方や見通しの説明不足」が上位に挙げられる傾向が繰り返し報告されています。歯科医院でも同じ構図があり、金額の水準以上に、説明のプロセスが定着への鍵を握っているといえます。

スタッフに給与の話が伝わらない3つの原因

給与の話がスタッフに伝わらない原因は、主に3つに整理できます。①話すタイミングの悪さ、②院長からスタッフへの一方通行な伝え方、③何と比べての金額なのかが見えないこと、この3つです。原因を分けて理解することで、対策も具体的になります。

原因1:忙しい診療の合間に切り出してしまう

診療の合間や片付けの最中に、立ち話で昇給や給与の話を切り出してしまう院長先生は少なくありません。話す内容が重要であればあるほど、場の軽さとのギャップがスタッフの不信感につながります。

原因2:院長からスタッフへの一方通行になっている

給与の話になると、院長先生が結論を伝えるだけで会話が終わってしまうことがあります。スタッフの受け止め方や疑問を聞く時間がなければ、それは対話ではなく一方的な通告として記憶に残ってしまいます。

原因3:何と比べて今の給与なのかが見えない

スタッフは、自分の給与を何かと比較して初めて納得したり不満を感じたりします。比較の対象が「去年の自分」なのか「同業他院」なのか「同じ経験年数のスタッフ」なのかが曖昧なまま金額だけを伝えると、スタッフは自分なりの物差しで勝手に判断してしまい、誤解が生まれやすくなります。

実際に、あるスタッフ面談代行の場で伺ったお話では、院長先生が朝礼後の廊下で立ち話のように昇給の連絡をしたところ、スタッフから「大事な話をこんな場所でされるのは、あまり大切にされていないと感じた」という本音が語られたことがありました。伝えた内容自体は決して悪いものではなかったにもかかわらず、場とタイミングの選び方だけで受け止め方が変わってしまったのです。同じ言葉でも、伝える場所とタイミングで受け取られ方はまったく変わります。

納得感を生む給与の伝え方の基本ステップ

納得感のある給与の伝え方には、事前準備・対話・フォローという3つのステップがあります。結論だけを伝えるのではなく、スタッフと一緒にそのプロセスをたどるように話すことが、納得感を生む鍵になります。

ステップ1:数字を伝える前に「場」を整える

まず大切なのは、給与の話をするための時間と場所を、意図的に確保することです。「少しお時間をいただいてもいいですか」と事前に一言添えるだけで、スタッフは心の準備ができ、話の重みも正しく伝わります。

ステップ2:結論から話し、理由をセットで伝える

給与の話では、結論を先に伝え、その理由をセットで説明する順番が効果的です。「今回、月額○円の昇給となりました。理由は、新人スタッフの指導を任せられるようになったことと、予約管理の改善提案が実際の業務に活かされたことです」というように、事実と理由をワンセットで伝えることで、スタッフは自分の何が評価されたのかを具体的に理解できます。

ステップ3:相手の反応を受け止め、次の目標をすり合わせる

結論と理由を伝えたあとは、必ずスタッフの反応を聞く時間を取りましょう。「率直にどう感じましたか」と尋ねることで、スタッフは自分の気持ちを言葉にできますし、院長先生もその場で誤解を解くことができます。そのうえで「次はここを一緒に目指しましょう」と次の目標をすり合わせることで、給与の話は一方的な評価ではなく、これからに向けた対話に変わります。

コーチングの現場では、この「結論ファースト、理由セット、反応の確認」という順番を「伝え方の型」としてお伝えすることが多くあります。実際にこの順番を意識して伝え方を変えただけで、「以前より説明があって納得できた」というスタッフの声が院長先生に届くようになった、という事例も少なくありません。伝える順番を変えるだけで、同じ金額でも納得感は大きく変わります。

ステップ 目的 意識したい一言
場を整える 話の重みを正しく伝える 「少しお時間をいただけますか」
結論と理由をセットで話す 評価の根拠を具体的に示す 「〇〇の理由で、今回はこうなりました」
反応を受け止め目標をすり合わせる 一方通行を対話に変える 「率直にどう感じましたか」

場面別・給与の伝え方の具体例とセリフ

給与の話は、場面によって適した伝え方が異なります。昇給を伝える場面、昇給を見送る場面、他院と比較された場面など、それぞれに合ったセリフの型を知っておくことで、いざというときに慌てずに対話ができます。

昇給を伝えるときの声かけ例

昇給を伝えるときは、金額だけでなく評価した行動を具体的に添えることが大切です。「今回、月額5,000円の昇給になりました。特にこの半年、新人さんへの声かけを丁寧にしてくれていたことが、チーム全体の雰囲気の改善につながっていたと感じています」というように、行動と結果をセットで伝えると、スタッフは自分の頑張りが見られていたと実感できます。

昇給を見送るときの伝え方

昇給を見送る場面こそ、伝え方が問われます。「今回は昇給を見送る形になりましたが、それは頑張りを見ていないからではありません。医院全体の状況として、今回はこのタイミングになりました。次の見直しの時期には、こういう点を一緒に伸ばしていきたいと思っています」というように、見送りの理由と次への道筋をセットで伝えることで、単なる拒絶ではなく前向きな対話にすることができます。

「他院の方が高い」と言われたときの返し方

スタッフから「知り合いの医院の方が給与が高いらしい」と言われることもあります。ここで感情的に反論せず、「教えてくれてありがとうございます。うちの医院での給与の考え方をあらためて説明させてもらってもいいですか」と受け止めたうえで、自院の評価基準を丁寧に説明する姿勢が信頼につながります。

ボーナス・待遇について聞かれたときの対応

待遇について質問されたときに即答できないこともあります。その場合は「その点は確認して、いつまでにお答えします」と期限を区切って約束することが大切です。あいまいに濁すことが、最もスタッフの不信感を招きます。

面談代行としてスタッフの本音を伺う中で、繰り返し聞こえてくるのが「給与が上がらないこと自体より、理由を教えてもらえないことがつらい」という声です。「言えない」ではなく「まだ言葉にしていないだけ」だと考えてみてください。言葉にする一歩を踏み出すだけで、スタッフとの関係は大きく変わっていきます。

まとめ|給与の話は「制度」より「対話」から始まる

給与の伝え方に悩んだときにまず見直すべきは、制度そのものではなく対話の仕方です。評価制度を整えることは大切ですが、それ以前に、今ある給与や昇給の内容をどう伝えるかという一つひとつの会話が、スタッフの納得感を左右しています。

前院長と比較され、スタッフとの関係づくりに悩む2代目・3代目の院長先生にとって、給与という「お金の話」は避けて通れないテーマです。だからこそ、場を整え、結論と理由をセットで伝え、相手の反応を受け止めるという基本のステップを一つずつ実践していただきたいと思います。完璧な制度よりも、一言添える誠実な対話の積み重ねが、スタッフとの信頼を築いていきます。

PlumChanでは、医科・歯科医院に特化したコーチング型のコミュニケーション研修や、院長先生に代わってスタッフの本音を伺う面談代行サービスをご提供しています。給与や昇給の伝え方に限らず、日々のスタッフとの対話にお悩みの院長先生は、ぜひ一度お話をお聞かせください。まずは無料体験説明会でお話を聞かせてください。

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よくある質問

Q1. 昇給の話は個別に伝えるべきですか、それとも全体で伝えるべきですか。

A. 金額は必ず個別に、評価の考え方は全体でも伝えると誤解を防げます。

Q2. 給与を上げられない状況をどう伝えれば角が立ちませんか。

A. 見送りの理由と次に見直す時期をセットで伝えると納得されやすいです。

Q3. スタッフから「他院の方が高い」と言われたら反論すべきですか。

A. 反論せず一度受け止め、自院の評価基準を丁寧に説明しましょう。

Q4. 給与の話をする適切なタイミングはいつですか。

A. 診療の合間ではなく、事前に時間を確保した個別面談が適しています。

Q5. 評価制度がまだ整っていなくても給与の話はできますか。

A. できます。制度がなくても、理由を言葉で説明する対話が納得感を生みます。

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この記事を書いた人

梅田 亮のアバター 梅田 亮 代表取締役

株式会社PlumChan 代表取締役。医科・歯科専門でコーチング技術を用いたコミュニケーション研修やスタッフ面談代行を行い、心理的安全性の高い職場づくりを行っています。

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