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GROWモデルとは|院長が使えるセルフコーチングの質問術

GROWモデルとは、目標(Goal)・現状(Reality)・選択肢(Options)・意思(Will)の4つの順に問いを立てて、考えを整理し行動につなげるコーチングの基本フレームワークである。

「スタッフには本音を話してほしいのに、そもそも自分自身の頭の中が整理できていない」。そんな感覚を持ったことはありませんか。院長は日々、診療、経営、採用、人間関係と、誰にも相談できない判断を一人で重ねています。

はじめまして、コーチの梅田 亮です。私自身も、人間関係に悩み、考えが堂々巡りになって動けなくなった時期がありました。その私を助けてくれたのが、このGROWモデルによる「自分への質問」でした。この記事では、院長が一人でも使えるセルフコーチングの質問術を、実際に使える形でご紹介します。

目次

院長の悩みが堂々巡りになる理由

「考えている」のに前に進まない状態

夜、診療が終わった後に「あのスタッフとどう向き合えばいいのか」と考え続け、気づけば同じ場所をぐるぐる回っている。これは院長の意志が弱いからではありません。悩みが解決しないのは、考えが足りないのではなく、考える順番が整理されていないだけです。

原因1:目標が曖昧なまま現状の不満を並べている

「スタッフが本音を言わない」という不満は、現状の話です。では、どうなったらよいのか。ゴールが決まっていないと、不満だけが増えていきます。

原因2:現状を事実と解釈で混ぜてしまう

「あの子はやる気がない」は解釈です。事実は「この1か月、朝礼で発言がなかった」かもしれません。解釈のまま考えると、打ち手も思い込みになります。

原因3:選択肢が「やる・やらない」の2択になっている

疲れているときほど、選択肢は「厳しく言うか、我慢するか」の2つに絞られます。本当は、その間に小さな選択肢がいくつもあります。

この3つを順番にほどいていく道具が、GROWモデルです。

私の経験談を一つお話しします。かつて私は、関係がこじれた相手との対話を避け続けていました。「どうすればいいか分からない」と言い続けていましたが、紙に「本当はどうなりたいのか」を書いた瞬間、悩みの正体が「解決策が見つからない」ではなく「ゴールを決めていない」ことだと気づきました。

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GROWモデルの基本:4ステップを表で整理

GROWモデルは、1980年代にイギリスで活動していたジョン・ウィットモア氏らが体系化し、コーチングの世界で広く使われてきたフレームワークです。名前は4つのステップの頭文字から来ています。

ステップ 意味 問いの方向 院長向けの問いの例
G:Goal(目標) どうなりたいか 未来 3か月後、スタッフとの関係がどうなっていたら理想ですか?
R:Reality(現状) 今どうなっているか 事実 実際に起きた事実だけを挙げるとしたら、何がありますか?
O:Options(選択肢) 何ができるか 可能性 実現可能性を問わなければ、どんな方法がありますか?
W:Will(意思) 何をやるか 行動 明日、最初にやることは何ですか?いつやりますか?

大切なのは、順番を守ることです。多くの院長は、いきなりR(現状)やO(対策)から考え始めます。まずG(目標)を置くことで、現状の見え方も、選択肢の質も変わります。

なお、コーチングとティーチングの使い分けについては、コーチングとティーチングの違いを解説した記事で詳しく整理しています。

院長が一人で使うセルフコーチングの質問術

ここからは、実際に自分へ問いかける質問を、ステップごとに紹介します。ノートを1冊用意して、書き出しながら進めるのがおすすめです。

G(目標)を決める質問

  • この悩みが解決したとき、医院はどんな状態ですか?
  • そのとき、スタッフはどんな表情で働いていますか?
  • 本当は、何を手に入れたいのでしょうか?

「何を避けたいか」ではなく「何を望むか」で答えるのがコツです。「辞められたくない」ではなく「安心して長く働いてもらいたい」と言い換えると、取るべき行動が見えてきます。

R(現状)を把握する質問

  • 今、実際に起きている事実は何ですか?(見たこと・聞いたことだけ)
  • 目標を10点とすると、今は何点ですか?
  • すでにうまくいっていることは何ですか?

点数化すると、「0点ではなく4点だった」と気づくことがよくあります。私自身もこの質問で、悩みの中にも小さな前進があったことに救われました。

O(選択肢)を広げる質問

  • 時間もお金も制約がなければ、何をしますか?
  • 信頼している人ならどうすると思いますか?
  • 小さく試せることは何ですか?

ここでは質より量です。突飛なアイデアも遠慮せず書き出してください。スタッフの問題を一人で抱え込みがちな方は、課題の分離の考え方も選択肢を広げるヒントになります。

W(意思)を固める質問

  • 選択肢の中で、最初にやるのはどれですか?
  • いつ、どこで、どのようにやりますか?
  • やる気を10点満点で表すと何点ですか?7点未満なら、何を変えれば上がりますか?

やる気が低い行動は、続きません。行動のハードルを下げて、確実に実行できる大きさにすることが、意思を行動に変えるポイントです。

実践例:ベテランが本音を話してくれない院長のセルフコーチング

架空の事例で流れを見てみましょう。勤続15年のスタッフが会議で意見を言わないことに悩む院長のケースです。

ステップ 院長の自問自答
G 「思ったことを気軽に言い合えるチームにしたい。まずはそのベテランが、一言でも意見を言ってくれる状態」
R 「会議での発言はこの3か月ゼロ。ただ、個別に声をかけると、雑談はしてくれる。5点くらい」
O 「①会議前に個別に意見を聞く ②発言しやすい質問に変える ③1対1で話す時間を作る ④外部の面談を使う」
W 「今週中に、診療後の5分間、雑談ベースで①を試す。7点の自信がある」

このように、悩みが「明日の5分間」まで小さくなることが、セルフコーチングの成果です。1対1で聞くときの質問の立て方は、スタッフ面談・1on1の質問例と進め方が参考になります。

GROWモデルを使う前に整えたい3つの心構え

正解探しではなく「整理」のために使う

GROWモデルは、正しい答えを見つけるための道具ではありません。頭の中に散らかった考えを、目標・現状・選択肢・意思という棚に並べ直すための道具です。完璧な答えが出なくても、並べ直すだけで気持ちが軽くなることがあります。

感情を先に認める

イライラや不安が強いときは、いきなり質問に進まず、「今、私は腹が立っている」「不安を感じている」と紙に書いてから始めてください。感情を認めた人だけが、冷静に問いを立てられます。

結論を急がない

一度で結論が出なくても大丈夫です。今日はGだけ、明日はRだけ、というように、日を分けて進める院長もいます。ゴールが決まるだけで、その日の診療中のスタッフの見え方が変わったということも起こりえます。

セルフコーチングで失敗しないための注意点

自分の答えを疑いすぎない

自分に質問すると、「これは正解か?」と採点したくなります。まずは出てきた答えを、そのまま書き出してください。判断は後です。

一人で難しいときは他者の力を借りる

セルフコーチングには限界があります。自分の思い込みは、自分では見えにくいからです。同じ場所を回り続けていると感じたら、第三者に問いを投げてもらう選択肢があります。院長がコーチングを受けるメリットは、院長がコーチングを受ける5つのメリットで解説しています。

問いを持つことは、弱さではなく、経営者としての力です。

質問の質を高める習慣

質問は「なぜ?」より「何が?」「どうすれば?」を使うと、自分を責めずに前向きに考えられます。「なぜできないのか」ではなく「何があればできそうか」と聞いてみてください。

セルフコーチングがスタッフの本音を聴く力につながる理由

自分に問える人は、相手にも問える

スタッフが本音を話さない背景には、院長の問いかけが「詰問」や「誘導」になっているケースが少なくありません。「どうして報告しなかったの?」という問いは、聞いている側は純粋な疑問のつもりでも、聞かれた側には責められているように響きます。

セルフコーチングで「何があればできそうか」「どうなりたいか」という問いに慣れていくと、面談でも自然に同じ形の問いが出てくるようになります。相手の本音は、問いの温度で決まります。

私が「自分への質問」を続けて気づいたこと

私自身、人間関係に悩んでいた頃は、相手の言動の「理由」ばかりを考えていました。「なぜあの人はああ言うのか」。答えの出ない問いを繰り返して、消耗していったのです。

コーチングを学び、問いを「私は何を望んでいるのか」「今、私にできる最初の一歩は何か」に変えたとき、はじめて相手の話を落ち着いて聴けるようになりました。相手を変えようとする力みが抜け、聴く余裕が生まれたのです。これは、多くの院長にも起こりうる変化だと考えています。

続けるための小さな仕組み

  • 診療後の5分を「GROWタイム」と決める
  • ノートの1ページを4分割して、G・R・O・Wを1行ずつ書く
  • 週の終わりに、前回のWillがどうなったかを1行だけ振り返る

完璧にやろうとせず、4行だけ書く。この小ささが、継続のコツです。継続することで、悩みが生まれたときにすぐ使える「考える型」が身についていきます。

まとめ:まず今夜、ノートに4行書いてみましょう

GROWモデルは、目標、現状、選択肢、意思の順に考えを整理する、シンプルなフレームワークです。堂々巡りの悩みも、4つの問いに分ければ動き出します。

まず今夜、ノートに「G:どうなりたいか」を一行書くことから始めてください。それだけで、明日のスタッフとの向き合い方が少し変わります。

そして、一人で整理しきれないときや、スタッフの本音が聴けないと感じているときは、私たちPlumChanがお手伝いできます。まずは無料体験説明会でお話を聞かせてください。

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よくある質問

Q1. GROWモデルとは何ですか?

GROWモデルとは、Goal(目標)、Reality(現状)、Options(選択肢)、Will(意思)の4ステップで問いを立て、考えを整理して行動につなげるコーチングの基本フレームワークです。

Q2. GROWモデルの質問はどの順番で行いますか?

Goal、Reality、Options、Willの順が基本です。ただし、現状を話しているうちに目標が変わることもあるため、必要に応じてGに戻って確認しても構いません。

Q3. セルフコーチングは一人でも効果がありますか?

書き出しながら進めれば、考えの整理には十分効果があります。ただし、自分の思い込みには気づきにくいため、行き詰まったときは第三者の視点を借りるのも有効です。

Q4. GROWモデルはスタッフとの面談にも使えますか?

使えます。院長自身がセルフコーチングで慣れておくと、面談でも相手に自然な質問ができるようになります。

Q5. どのくらいの頻度で行えばよいですか?

週に1回、15分程度から始めるのがおすすめです。悩みが出たときにその都度行うのも効果的です。

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この記事を書いた人

梅田 亮のアバター 梅田 亮 代表取締役

株式会社PlumChan 代表取締役。医科・歯科専門でコーチング技術を用いたコミュニケーション研修やスタッフ面談代行を行い、心理的安全性の高い職場づくりを行っています。

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